ミュシャ展(国立新美術館、2017年、スラヴ叙事詩)感想+グッズ情報

こんにちは、店員Nです!! 今回は、先日訪れた「ミュシャ展」についてグッズ情報や個人的な感想を書いていこうと思いますが、ミュシャ展の概要や見どころは店員Sさんがこちらの記事にわかりやすくまとめられているので、先にご覧になっておくことをおすすめします。

会場に入ってしばらくは、本展覧会の目玉である「スラヴ叙事詩」のコーナーが続きます。あえて離れて全体像を鑑賞するもよし、近づいて細かい部分をつぶさに観てゆくもよし、どちらも違った趣があるので、ぜひご自分に合った鑑賞方法を探ってみてください。

わたしは遠くから眺める→近寄ってじっくり見つめる、という流れで1枚1枚観ていったのですが、色彩の繊細なグラデーションによって表現された空の様相、カッと見開かれた瞳や微笑をたたえた唇でもってありありと感情を表す人物たち、思い切った構図などには感嘆を禁じえませんでした。

しかも、じっと見つめているとなんだか切なくなってくるんですよね……ミュシャが郷愁と信念から故郷のルーツを辿って描いた、という経緯を前情報として知っているからかもしれませんが、それだけでもない気がします。

わたしが今回のミュシャ展を通じてもっとも心を揺り動かされたのは、「スラヴ叙事詩」の中の1枚にひっそり描かれていた、生命力そのもののように、希望の象徴のように照らされて輝くひとつの植物だったのですが、どうしてあそこまで惹きつけられたのか、それさえも、理屈では今もってわからないのですから。

「スラヴ叙事詩」について、絶対にお伝えしておきたいことがひとつあります。実物のアウラ(本物のオーラ)を味わうためというのがおそらくは主な理由なのでしょうが、美術品は複製品ではなく本物を観てこそ、とよく言われていますよね? たしかに偉大な美術品に直に向かいあったときのあの緊張感と感動は言い知れぬものがありますが、そんな抽象的なことを言われても……と戸惑われる方もいらっしゃるでしょうし、実際問題、鑑賞にあたって時間・体力ともに必要となる展覧会に頻繁に足を運ぶのはなかなかに困難で、その点図録は一度買えば繰り返し好きなときに見られるのだからそちらで妥協しようという気持ちにもなると思います(実際わたしもよくやります)。ですが「スラヴ叙事詩」に関しては、もっと具体的な、そして目に見える、実物を観にいったほうが良い理由があるのです。

それはなにかというと、箔です。みなさん、ポスター等をスキャンしようとして、金箔の部分が錆びた銅色っぽくなってしまったり、銀箔の部分が白っぽくなってしまったりした経験はありませんか? あれと同じことが、「スラヴ叙事詩」を印刷する際にも起こっているようです。「スラヴ叙事詩」には箔(この呼び方が正確なものかはわかりませんが、まあきらめく部分です)が多用されています。箔を惜しみなく使って星を表現しているものがあったかと思えば、隅の方に描かれている村娘の服飾品にあしらわれていたりもする(もしかすると、巨大な絵画であるがゆえの、端まで視線を誘導しようという仕掛けなのかもしれません)。あのきらめきがあるかないかでは、絵画全体の印象が大きく変わってきます。なので、どうあっても一度実物を観、その後図録や画集を入手して眺めつつ思いを馳せる、というのが良いのではないか、と個人的には思っています。

そんな「スラヴ叙事詩」を賞しつつ進み、叙事詩終盤の4・5枚を撮影することのできるコーナーを抜けると、比較的小さめの絵画が展示されるエリアに出ます。「四つの花」といった連作やサラ・ベルナールの舞台のため描かれた作品群、つまりは有名どころを鑑賞できるのはここで、ロダンとも親交のあったというミュシャの彫刻作品も拝むことができます。ベルナール・コレクションは昔から大好きなので夢中になって眺めましたが、生「メディア」の迫力はやはり凄まじかったです……。「椿姫」がなかったのが残念といえば残念ですが、それを補ってあまりある満足感でした。 

そこから、パリ万博やチェコの独立闘争絡みのあまり馴染みのない作品の多く並ぶコーナーを抜け(とても新鮮で興味深かったです。ミュシャのデザインしたお札なんてものも!!)、最後に辿りつくのは、おそろしく混雑しているグッズ販売コーナー。文字通りの寿司詰め状態、夏のコミックマーケットに参加されたことのある方はあれを思い浮かべていただければ近いかと思います……。ですが苦労をおしてでも手に入れたい素敵グッズばかり。

以下しばらく、わたしが購入したグッズの写真とちょっとしたコメントになります。参考資料として役立てていただければ幸いです。

2017年 ミュシャ展 ポストカード
2017年 ミュシャ展 ポストカード
2017年 ミュシャ展 クリアファイル
2017年 ミュシャ展 クリアファイル

まず、定番のポストカードとクリアファイル。美術展に行くとつい買ってしまいますよね。コレクションなさっている方も多いだけに、この周辺が一番混雑していました。ポストカードは壁沿いとコーナーの中心あたりに位置する回る棚の2箇所に並んでいて、回る棚の方は、ほかのお客さんに気を遣って回すに回せなかったり、目当てのものを取ろうとしたタイミングでぐるっと回されたりとなかなかハードなので、壁沿いの方をおすすめします。断言はできませんが、おおよそ同じ種類のものが並んでいたと思うので……。

2017年 ミュシャ展 クリアしおり
2017年 ミュシャ展 クリアしおり

お次は、たまに見かけるけど若干変わり種かな? という感のあるクリアしおり。ミュシャの作風とこういうグッズってとても合いますよね。わたしは本と栞(あるいはブックカバー)のイメージをできる限り近づけたいタイプなので、向かって右のピンクはマルグリット・ユルスナールの小説に、左のブルーはエロシェンコ全集に挟もうと思ってワクワクしています。

2017年 ミュシャ展 チケットホルダー
2017年 ミュシャ展 チケットホルダー

最後に個人的な大本命、チケットホルダーです!! 舞台や展覧会に行くとき、すてきなホルダーにチケットを入れると気分が盛り上がりますよね。

ほかにトートバッグやiPhoneケース、こちらも定番のマスキングテープ等があり、全体的に実用的なグッズが多かった印象です。

こんなところで失礼したいと思いますが、そういえばミュシャについてはかなり前に書いたこちらの記事でも若干触れていますので、ご興味のある方はどうぞ。

国立新美術館 ミュシャ展

国立新美術館で3月8日から行われている『ミュシャ展』に行ってきました! 今回の展示は『スラヴ叙事詩』という全20作の大作がチェコ国外では初公開だそうです。『スラヴ叙事詩』はチェコとスラヴ民族の歴史を描いた連作で、一番大きいもので縦6m✕横8m。圧倒されました。

そんな巨大な絵画なので、人が多くても問題なく鑑賞できるのはいいですね〜。写真撮影がOKの場所もあって、全体はフレームに収まりきりませんでしたが、店員Sも何枚も撮影してきました。もちろん有名なアール・ヌーヴォーの作品も多数展示されていて堪能してきました。そして出口にあるグッズ売り場では、図録や絵はがきなどを買いすぎてしまいました……。でも鑑賞後の興奮状態だと仕方がないですよね (笑)

草古堂 幕張店ではミュシャの画集を取り扱っております。この画集には今回展示されていた『サラ・ベルナール』のポスターなどが収録されています。この機会に是非ご覧になってください。

アルフォンス・ミュシャ / 講談社 / 1986
アルフォンス・ミュシャ / 講談社 / 1986

草古堂では、美術や芸術に関する書籍の買取りも大歓迎です。どうぞお気軽にご相談、お問合せください!

バレンタインを幸福で満たす、メリーチョコレートの物語世界

みなさんこんにちは!! さて、待ちに待ったお楽しみイベント、バレンタイン・デイが明後日に迫ってまいりました。この時期になると百貨店の催事コーナーは常になく華やかになりますが、もう足は運ばれましたか? わたしは例年、もっぱら自分用のチョコを求めてあのコーナーを訪れるのですが、今年はこれ以上ないというくらいにすてきなご褒美を手に入れることができました。

それがこの、メリーチョコレートと名作児童文学とのコラボシリーズ!!

メリーチョコレート アソートチョコレートとチョコレートミックス
星の王子さま × メリーチョコレート アソートチョコレートとチョコレートミックス
星の王子さま × メリーチョコレート アソートチョコレート(中身)
星の王子さま × メリーチョコレート アソートチョコレート(中身)

こちらは「星の王子さま」コラボ。タイトルロゴに、星、バラの花、ゾウを丸呑みしたウワバミ(あるいは、ウワバミに丸呑みされたゾウ)、ヒツジ、そして王子さま、丸缶にはキツネと、作中の印象的なモチーフが揃い踏み。ゾウとウワバミが図解されているバージョンになっているのが惜しいといえば惜しいですが、それにしてもすばらしいクオリティです。キツネが忘れられていないのも嬉しい……(キツネ、というかキツネと王子さまの関係性への思い入れについては、こちらの記事をご参照ください)。中身を食べ終わったら缶に何を入れようか、今からわくわくしてしまいます。

しかしなんと、舌を巻かされたという意味ではこれのさらに上をゆく品があったのです。

ピーターラビット × メリーチョコレート ブックコレクション 6個入
ピーターラビット × メリーチョコレート ブックコレクション

小学校の図書室に入り浸っていたみなさん、このシリーズ、きっと見覚えがありますよね?

ビアトリクス・ポターによる、イギリス人ならではのユーモアの利いた語りに、温かく柔らかな挿絵、ちんまりと愛らしい装丁。かたわらに積み上げ、一冊一冊小さな手で握りしめてクスクス笑い声をこぼしながら夢中になって読んだ、あの「ピーターラビット」シリーズ!!

完璧に狙い撃ちされている……。

バレンタインというイベントの性質柄、シックで落ち着いたものや挑発的なデザインのもの、おしゃれなものが多く大人な雰囲気を漂わせるフロアのなかで、ふと子供時代に立ち返らせてくれる品々。まだ子供でいることを許されている幸せを噛みしめながら、ゆったり味わって食べることにします。みなさんも、恋人にもらうにしろ家族と食べるにしろ友人と交換するにしろ、それぞれのチョコレートに詰まった幸せを存分に楽しんでくださいね。

古本屋 草古堂は、『星の王子さま』の関連書籍や「ピーターラビット」、「ムーミン」シリーズといった名作児童文学の買い取り大歓迎です!! 出張買取も承りますので、お気軽にお問い合わせください

今年も、

あっという間に大晦日、今年も一年、お客さん、スタッフのみんな、家族に友達、みんなお世話になりました!

来年も古本屋 草古堂をどうぞよろしくお願いいたします。良いお年を〜〜〜〜!

12/31日恒例のクルマの洗車も終わってようやく年末感。

2017年の草古堂は1/4からの営業となりますのでよろしくお願いいたします!

2017年に向けて――カキモリオリジナルスケジュール帳/本読むEDiT

こんにちは、皆様クリスマスはおかがお過ごしでしょうか? この日が過ぎると年内の大きなイベントも終わり、あとはゆったり新年を迎えるのみとなりますね。

さて、新年といえばスケジュール帳の代替わりです。来年1年間をずっと共に過ごしてゆくことになる1冊。去年はアクセントのトレーシングペーパーの挟まった動物シリーズ、今年はモレスキンの星の王子さまモデルを使用していた店員Nですが、2017年用はなかなかピンとくるものが見つからず焦っていました。

そんなとき、ここ数年ずっと気になっていた、蔵前にあるお店「カキモリ」さんのオーダーノートでスケジュール帳を作れると知り、ちょうどよかったと出向いてオリジナルのスケジュール帳(下の写真)を作ってきました。

カキモリ オーダーノート
カキモリ オーダーノート
カキモリ オーダーノート  中身(封筒・遊び紙)
カキモリ オーダーノート 中身(封筒・遊び紙)

表裏表紙や中の紙を選んでいる間も、製本していただいているときも、そしてできあがってからも、オーダーメイドならではのワクワク感が止まりません。

長く使うことになるものですから、できるだけ飽きのこないデザインにしようと、シンプルに青・紺系統で統一。しかしそれだけだとすこし物足りなかったので、アクセントに金の角飾りとピンクの遊び紙も付けてみました。最後に綴じた白封筒には、出先で見つけた気になる映画や舞台、展覧会のチラシなどを畳んでしまっています。こうしておくと忘れずにチェックできるので便利なのです!! 

市販のスケジュール帳だと、人によっては一度も使わないまま残ってしまうページも少なくないと思うのですが、このオーダーノートでは中の用紙の種類・数・順番もすべて自分で選べるので、その人その人に一番合うスケジュール帳をストレスなく使うことができます。

万年筆ユーザーや文房具マニアの間では、主にオリジナルインクの作成(inkstand)やこのオーダーノートサービスによってかなりの知名度を誇るカキモリさんですが、スケジュール帳を作れる(スケジュール帳にする用の紙がある)というのはあまり知られていない気がします。スケジュール帳選びに迷ったら、ぜひカキモリさんに足を運んでみてください。店員さんもとてもお優しい方ばかりです。

そしてもうひとつ、店員Nが新年に向けて準備したものがあります。「READING EDiT」、読書ノートです。スケジュール帳を探してネットを彷徨っているうちにEDiTのサイトに辿り着き、こちらを発見。読了日や好きな文章のみならず、装丁家や作中のキーワードを記入する欄まで設けられている徹底ぶりに惚れこみ、迷わず購入しました。

EDiTの読書ノート 「READING EDiT」
EDiTの読書ノート 「READING EDiT」
READING EDiT ブックジャーナル左ページ
READING EDiT ブックジャーナル左ページ
READING EDiT ブックジャーナル右ページ
READING EDiT ブックジャーナル右ページ

このブックジャーナルの他、本に関する支出表(頭が痛い……)、読書スケジュール、書店のアドレスを書き込むページもあります。ブックストア・アドレスには、ぜひ草古堂のデータも書き込んでくださいね!! それでは皆様、よいお年を。