2018年春、シャーマンキング 新章連載決定!!

あけましておめでとうございます。どことなく浮足立った空気がたちこめ、軽快に話題が移り変わってゆくこの時期に長々とお話をするのも野暮な気がいたしますので、今回は、年明け一番に舞い込んできたとてもうれしい知らせを皆様にもお伝えしましたら、早々に筆を置こうと思います。

すでにご存知の方も多いかもしれませんが、こちらの記事で愛及び完全版への感謝を叫んだ漫画作品『シャーマンキング』の新章が、今春より連載されるそうです!! 元旦に20周年記念サイトが開設されると同時に告知がなされたようで、初めてサイトを開き、流れつづける恐山ル・ヴォワールを聴きながら武井先生のコメントを目にした時、じんわりと涙が滲んできました。

あの歌、詞は作中エピソード「恐山ル・ヴォワール」でマタムネが詠んだもので、それにひとりの読者の方が純粋な愛から曲をお付けになって初音ミクの歌唱で動画サイトに投稿され、作品ファンの間で静かに支持されていたのが公式の目に留まって恐山アンナを演じた声優さんにカバーされた、作品と、作品を想う読者愛と、それに胸打たれた関係者の皆様の愛が繋がって生まれたものなので、あのコメントの内容と重なって、もう……。

新章の内容については未だ一切明かされておらず、登場人物ひとりひとりにスポットを当てた前日譚は「0」で、葉とアンナの息子・花を主人公に据えた後日譚は「FLOWERS」ですでに描かれていますから、新章がどの時期を切り取ってくるのか想像もつきません。個人的には今のところ、葉とアンナの旅路編かな……? という気がしているのですが、こうして思いを馳せるだけでも心が温まってきて、帰ってきてくれてほんとうにありがとう、という気持ちでいっぱいです。

明後日7日(日)からは、こちらの記事ですこしだけ触れた、アニメ「カードキャプターさくら クリアカード編」の放送もはじまります。もう長いこと全力で愛を注いできた、そしてそれに応えてくれた作品に囲まれ、この上なく幸せな年明けを迎えることができました。みなさまの一年も、どうか幸せなものでありますように。

当店では、『シャーマンキング 完全版』やその関連書籍の買い取り大歓迎です!! 出張買取も承りますので、お気軽にお問い合わせください

心ときめくアドベントカレンダーの思い出と『月光綺譚』

こんにちは、店員Nです。ついに12月に突入しましたね……月日の過ぎゆく速さにはつくづく驚かされます。

さて、12月の一大イベントといえばクリスマスですが、アドベントカレンダーをご用意された方ってどのくらいいらっしゃるのでしょう? クリスマスの訪れを心待ちに、12月1日から毎日ひとつずつ24の窓を開けてゆくカレンダー。窓の中に小さなお菓子が入っているものから、Diorの出しているもののような変わり種まで、実にバリエーション豊かです。本場ヨーロッパでは宗教色の強いものもあるようですが、ここ日本では日々に楽しみを添えてくれる娯楽のひとつとして親しまれています。

わたしも、幼いころはよく、チョコレートの入っているタイプのものをわくわくしながら開けては姉とはんぶんこしたものでした。ふたりともほんとうに小さな、ろくに分別もついていない子どもだったのに、なぜかどちらかが勝手に食べてしまうということもなく。もしかすると、こういったものは独り占めするよりも分かち合ったほうが楽しいのだと、子供ならではの嗅覚で感じとっていたのかもしれません。

さて、そういうわけで個人的にも浅からぬ思い入れのあるアドベントカレンダーですが、これとよく似たときめきを与えてくれる書籍に巡りあってしまいました。

月光綺譚 / 星野時環 / 空中線書局 / 2014
月光綺譚 / 星野時環 / 空中線書局 / 2014

それがこの『月光綺譚』。31枚の紙に印刷された31の掌編が収められており、12月のような31の日をもつ月のついたちから1日1枚読み進めてゆけば、ちょうど1ヶ月で1周するようにできているのです!!  どうです、この言いようのないわくわく感。アドベントカレンダーを彷彿とさせませんか!?  

この装丁の美しさ、何気ない日々に輝きを与えてくれるものとして完璧です。シンプルな品の良さがありながら、どこか遊び心も感じさせる佇まい。瑠璃色(奇しくもラピスラズリは12月の誕生石のひとつ)の地に銀箔押し特殊加工……。しかもこちら、実は別に特装版がありまして、このクオリティで通常版なんですよ……。といっても、限定200部の品ではあるのですが。

それぞれの掌編のタイトルも「お星様の作り方」「月光症候群」「流星Nite倶楽部」等、想像力をかき立てるものばかりです。題は目次からあらかじめわかっているだけに、1日に3枚4枚と読んでしまいたくなる誘惑と戦うことになるのが目に見えるよう。

こういった楽しく美しく素敵なものが何気なく世の中に存在している幸いに感謝しながら、今晩ベッドの中でじっくり1枚目を味わおうと思います。

古本屋 草古堂は、クリスマスの絵本や装丁の凝った書籍の買い取り大歓迎です!! 出張買取も承りますので、お気軽にお問い合わせください

只今、幕張店のワゴンにクリスマス絵本コーナーを設置しておりますので、お近くにお来しの際はぜひお立ち寄りくださいね。それでは皆様、どうかよい12月を。

ガンダムいろいろ

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の本編がアニメ化するかもしれないということがニュースになっていますね〜。すごく楽しみなんですが、OVAのクオリティーでコミック全24巻をやろうとしたら何年かかるか分からないので劇場版になるのかな? ガンダム40週年の来年にやってほしいけど難しいだろうな。漫画の方を読み返しながら楽しみに待ちたいと思います!

そしてお台場の『実物大ユニコーンガンダム』も展示開始が9月24日に決定しました。こちらも楽しみですね〜。開始したらすぐにでも行きたいけど混みそうですね。ユニコーンガンダムはファン以外はイラストすら見たことがないでしょうけど、顔や肩など変形をするみたいなので知らない人でも見る価値がありそうです。

ディズニー・アート展《いのちを吹き込む魔法》

現在、日本科学未来館で行なわれている『ディズニー・アート展』に行ってきました!写真撮影はもちろん、会場内ではスマホを取り出してもダメと言う厳しさでしたが、その価値がある展覧会でした。

『ミッキー』、『ピノキオ』から『モアナと伝説の海』までの様々な作品の原画やコンセプト・アートなどが展示されています。白雪姫はコンセプト・アートでは全然違うデザインだったことに驚きました。そして平面のアニメに奥行きを出すために特殊なカメラを創りだしたり、キャラクターの動きに音を合わせるなどの表現を初めてやった技術なども説明されていて興味深かったです。

展示場の出口にあるグッズ売り場ではカタログと絵はがきなどを買っちゃいました。他にもたくさんのグッズやカチャカチャもあったのですが、ちょっとお高いんですよね(笑) それでもやっぱり展示を観た後だとほしくなっちゃいますよね〜。

幕張店では、今回のものではなく2006年に行なわれたディズニー・アート展のカタログを販売しております。こちらも見応えがあるので、是非お手にとってみてください。

『薔薇の全貌』―世界を革命したアニメ、少女革命ウテナ

NHKが主催し、今年1月から3月にかけて投票が行われた「ベスト・アニメ100」。「TIGER & BUNNY」や「魔法少女まどか☆マギカ」、「おそ松さん」に「カードキャプターさくら」(店員N、思わずガッツポーズ)、「新世紀エヴァンゲリオン」等そうそうたる作品がランクインする中、1997年に放送され今でもカルト的人気を誇る「少女革命ウテナ」が30位につけました。

ヘルマン・ヘッセ『デミアン』の有名なフレーズやJ・A・シーザーの呪術的音楽、表現至上主義的な比喩的演出を取り入れたことによる独特の雰囲気をもち、一見いかにも「少女マンガ」的なキャラクター達が放つのは心の柔らかい部分に容赦なく切り込んでくるセリフの数々。人間の欲望を惜しみなく曝けだし、けれどもその根底にある愛を礼賛もする。2017年現在に至っても、色褪せぬ鮮烈さで人々を惹きつけてやまない「ウテナ」。

今回は、そんな「少女革命ウテナ」の公式ファンブック『薔薇の全貌』をご紹介しつつ、作品への個人的な思い入れを語ってゆきたいと思います。

少女革命ウテナ 薔薇の全貌 / AX特別編集 / ソニー・マガジンズ / 1999
少女革命ウテナ 薔薇の全貌 / AX特別編集 / ソニー・マガジンズ / 1999

残念ながら現在は絶版となっており入手困難な品なのですが、「ウテナ」の魅力が濃密すぎるほど詰まりに詰まっています。

『薔薇の全貌』の大部分は、上の数枚のようなカラーイラストと作中の印象的なフレーズを組み合わせたページが占めています。この本が発行されたのは1999年、今から20年近く前なわけですが、このデザイン性、この配置、この文字組!! これでは色褪せようもないよなあ、としみじみすることしきりです。フレーズにしても、「ウテナ」ファンは間違いなくこれ好きでしょう、というところを狙って抜粋されている感があって、数枚めくったところですでに「もう降参」という心持ちにさせられます。

半ばに袋とじのスタッフインタビューがあるのですが、この密度もまたすごい。スタッフごとに数ページ分しか収録されていないのに、この作品に対する思い入れ、なぜこんなアニメを作ろうと思い立ったのか、この作品を通してどんなことを伝えたかったのか、このシーンにはどんな思いを込めたのか、等、作り手へのインタビューというものに視聴者が求める内容はおおよそコンプリートされているように思います。作り手の思惑が「正解」かというと決してそうではないし、自分が作品と一対一で向き合ったときに受けた情動が何より大切ではあるのでしょうが、それはそれとして単純な興味は尽きませんから、スタッフインタビューはやはり抑えておきたくなりますよね。

〈黒薔薇編〉は「簡単すぎた」けれど合間にあの話がなかったら視聴者は付いてこられなかった気がするからまあよかったのかもしれない、というような芸術としての作品づくりと商売としてのそれとの間で生じる葛藤だとか、いろいろな裏話がされているのですが、わたしがとくに夢中になって読み込んだのは、キャラクターデザインとマンガ版を担当したさいとうちほさんへのインタビュー。

視聴者の快楽/登場人物の快楽の匙加減や「王子様はいないから、ひとりで生きていかなければならない」という作品全体のテーマのシビアさについて、伝統的に心情描写の多い少女マンガの作家独自の視点からコメントなさっていて、かなり読み応えがありました。

このあたりを読んでいてふと思い出されたのが、個人的にウテナ本編で一番印象に残っている、最後の決戦前、どう転んでも平穏なときに戻れはしないだろうとわかりきっている状況で、主人公ウテナと幹・樹里先輩がバドミントンをするシーン。そこはかとない不穏さが漂う中、それでも尚清々しい、あの光景。

振り返って考えてみると、あの場面は一方通行の想いが暴走することの多かった物語の終盤に、自分の打った球(相手に向けた想い)を正しく受けとめ返してくれる人がいるという幸福を示す役割を果たしていたのではないかと思います。

王子様コンプレックスを抱えていたウテナも、特定の人物への強い執着を持て余していたふたりも、序盤から終盤にかけてずっと歪みを抱えていたけれど、ウテナと決闘という形で信念をぶつけ合い、最後にはどこか吹っ切れたような様子でまっすぐに笑っている。「人はひとりで歩いてゆかなければならない」というテーマは紛れもなくシビアなものですが、この作品のデュエリストたちは、そうして掴み取った自分の道は清々しい幸福に満ちているのだという希望をも一緒に渡してくれるから突き放されたままではない。登場人物たちみんながみんな救いに辿りつけたわけではないというあたり、残酷なことは残酷ですが、ある意味そういった弱い人間の存在が目をそらされず許容されているともいえる。そんなところも、「ウテナ」の大きな魅力のひとつなのかもしれません。

余談ですが、ウテナは副題もはっとさせられるものが多くてじつにいいですよね……2話「誰がために薔薇は微笑む」、31話「彼女の悲劇」、そして最終話「いつか一緒に輝いて」あたりはこの短いフレーズを見ているだけでもうどきどきしてしまいます(その反動か、ギャグ回は奇天烈なタイトルばかりなのもキュート。ギャグにもいろいろ潜ませてくるので油断はできませんが)。

古本屋 草古堂は、「少女革命ウテナ」の関連書籍、DVD・Blu-ray やCD-BOX等の買い取り大歓迎です!! 出張買取も承りますので、お気軽にお問い合わせください