ゆめみるおもい―ミュシャと晶子、夢の協奏

アール・ヌーヴォーを代表する画家兼デザイナーであったアルフォンス・ミュシャと、『みだれ髪』で有名な歌人、与謝野晶子。それぞれの名前はしばしば目にも耳にもしますが、このふたりの作品がひとつの場でいちどに取りあげられるというのは、とても稀なことではないでしょうか。今回紹介させていただく『ミュシャ小画集 夢想』では、なんと、そんな夢の共演が果たされているのです!!

ミュシャ小画集 夢想 / アルフォンス・ミュシャ、与謝野晶子 / 講談社 / 1997
ミュシャ小画集 夢想 / アルフォンス・ミュシャ、与謝野晶子 / 講談社 / 1997

この本とは、とあるブックカフェで出会いました。こじんまりとしたお店のなか、心なしかやさしい味のするカフェオレをいただきながらふっと視線を横にうつすと、そこにあったのは本棚の上に展示されたこの画集。ミュシャの画が表紙を飾り、ばっちり「画集」と題されてもいるのに、なぜかその下にあるのは与謝野晶子の名で、どういうことだ? とページをめくってみると、ミュシャの画と晶子の短歌が、互い違いに、もしくは同時にあらわれる、思いもよらない不思議な構成。どうしようもなく惹きつけられ、タイトルが夢想と書いて「ゆめみるおもい」と読まれているのも魅力的で、すぐさま購入を決めた本の山に積みあげました。

じつをいうと私は、ページを開いてみるまで、ミュシャと与謝野晶子、というか短歌をあわせることに不安をぬぐえずにいたのです。ミュシャはたしかに、かの有名な『トスカ』やデュマ・フィスの『椿姫』のような舞台のための作品をいくつも描いてはいますが、いずれも西洋のもの。短歌、という和の象徴のようなものとの相性はどうなのだろう、はたして互いのよさをうまく引きだせるのだろうか、とハラハラしましたが、それはまったくの杞憂でした。両者とも花やそこから連想されるものに題をとることが多いために一体感がありますし、ミュシャの平面的な画は、いざ短歌とあわせてみると、意外なほど違和感がなかったのです。

彼とおなじくチェコ出身の画家であるオルリックが浮世絵に感銘を受け、日本中を旅してまでその技法を習得した、という歴史的事実もあることですし、もしかするとミュシャも日本画を意識したことくらいはあったのかもしれず、それも短歌との協調を生みだす一因であるのかもしれないな、などと憶測に憶測ををつなげたようなことを、つい漫然と考えてしまいます。

当店では、ミュシャ関係の画集・図録や与謝野晶子の歌集などの買い取り大歓迎です。出張買取も承りますので、お気軽にお問い合わせください

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