舞台「トーマの心臓」―生身、むきだしの感情

新宿のシアターサンモールにて現在上映中の、劇団スタジオライフさんの舞台「トーマの心臓」を観てきました。

以前『星の王子さま』についての記事でも書いたように、私には、原作ありきのメディアミックス作品に対してつい点が辛くなってしまう悪癖があります。そのため、不安と期待とやっぱり不安と、いや、しかし萩尾先生(原作者)が太鼓判を押してくださっているのだから大丈夫だ!! という安心感とが入りまじった、ひどく複雑な心境で開幕に臨むことに……。結果としては、たいへん観ごたえのある舞台で、原作ファンの性で「できればここはカットしないで、あるいはどうにかうまく演出して欲しかったなぁ」という箇所はありつつも(冒頭のトーマの〈飛び降り=墜落〉だとか、ユーリの回想のなかの〈それでは君はだれも愛していないの〉のくだりだとか……)、おおむね大満足で帰路につきました。

舞台「トーマの心臓」2

私がこの舞台を観るにあたって不安に思っていたことのひとつが、役者さんの声や体格の問題。『トーマの心臓』を原案にした(と、公言されてはいないものの、観ればわかる)「1999年の夏休み」という映画があるのですが、あちらはキャストに少女たちを起用し、彼女らを男装させることで、萩尾作品の中性的な少年たちの雰囲気をうまく演出することに成功しました。しかし舞台、それもプロの舞台となると、必要な声量の関係もあって、彼らを演じるのは大の大人。はたして、あの永遠の少年たちを表現することができるのか……? とずっと疑問に思っており、実際、幕が開いてからもしばらくは大人の男性が演じるユリスモールやオスカーに違和感を禁じ得ませんでしたが、役に入りこみきった演技に次第に惹きこまれてゆき、終盤に差しかかるころには、原作を読んでイメージしていたとおりの彼らをそこに感じていました(ときたま、バッカスと並んで彼より大きいオスカーなどで、はっと現実に引き戻されることはありましたが、それはご愛嬌!! )。演技というものの力には、つくづく驚かされます。

舞台の演出とは直接の関係のないところでも、生身の役者がその身体、その声で演じることで新しく発見できたことも。たとえば、登場人物たちの名前の語感。原作はマンガなので、名前の字面はともかく語感にそこまでの注意をはらったことはなかったのですが、生身の声で呼びかけられてみると、まったく話が違ってくる。ユリスモール・バイハンは誠実生真面目で「おかたい」、悩み多き印象を与えますし、オスカー・ライザーは、あの飄々とした「お兄さん」感、少年のなかの青年、ストレンジャーとでもいうべきそれを強めます。トーマ・ヴェルナーは、苗字に濁点がまざることで作中で語られる「おとなしい」彼の印象との齟齬を生じさせ、トーマという少年の人物像をさらに謎めいたものにしていますし、なんといってもエーリク・フリューリンク!! 先生が彼の名前を怒鳴りつけたところで、このあまりの語感の良さ、流麗さに感動してしまいました(本来そんなシーンでは、まったく、なかったのですが……)。メイン4人のなかでひとりだけいっさいの濁音がはいらないこの響きが、図太いようにみえる彼に繊細な印象を付与し、トーマのそれとは正反対の効果をあげているような気がします。

演技そのもの以外での素晴らしいところも、もちろんたくさん、この場ではとても言い尽くせないほどあり、舞台セットひとつとっても、けして華美ではないけれど品の良い、まさにシュロターベッツといった風情があります。音響面では、何度か流れるアヴェ・マリアによって、荘厳さ、妙な騒々しさのない潔癖な空気、しかし無菌室のようではない温かみが演出されていましたし、劇場へ足を踏みいれた瞬間、「シュロターベッツへようこそ! 」というセリフでのお出迎えがあるのも嬉しい。

個人的な感想をいろいろと述べてきましたが(全体的に原作ファン向けの内容となってしまい申し訳ありません)、演出や内容の取捨選択をどのように捉えるかは人それぞれですし、原作を読まれていない方の場合は、原作ファンとはまた違った観方をなさることでしょう。芸術作品というのはやはり、どんな種類のものでも、直に鑑賞してみないとわからないものです。今回紹介させていただいた舞台「トーマの心臓」は3月13日まで、日によってはまだチケットがのこっているようですので、ぜひ劇場に足を運んでみてください。一見の価値は、まちがいなくありますよ!!

「待ってました!」の声響く 柳家喜多八 独演会 “喜多八膝栗毛 冬之寿(ことほぎ)”

新年あけましておめでとうございます。とは言うものの、もう年越しから幾日か経っております。届いた年賀状の返事はまだ書けていません。筆無精の店員Tです。本年もよろしくお願いします。

新年といえば初笑い、ということで1月6日に落語家柳家喜多八(やなぎやきたはち)師匠の独演会を見に銀座博品館劇場へ行ってきました。

落語が面白そうだということに感づいたのが去年の夏の終わりぐらい、ついこないだなんですが、動画や音源など残っている作品に触れることはあってもなかなか寄席に行くことは初心者にはハードルが高く思えました。しかし新宿末廣亭という寄席では土曜の夜に「深夜寄席」があって、二つ目(落語家さんの階級。「見習い」「前座」「二つ目」「真打ち」の順に上がっていく)の落語家さんのネタを4人分楽しめて500円という魅力にやられ、昨年の秋に私は初めて寄席を体験したのです。深夜寄席に通ううち、ある回で「熊の皮」という噺を初めて聴き、気になって「熊の皮」を調べたところ、柳家喜多八師匠の高座を発見、その面白さの虜になりました。

「深夜寄席」はワンコインという安さと、仕事帰りにいける時間帯という魅力があるのですが出演する落語家さんは全員「二つ目」です。もちろん「二つ目」でも面白い落語家さんはたくさんいらっしゃいますが、やはり「真打ち」の話芸を楽しんでみたい、見るのであれば惚れた師匠の独演会が見たい、ということで柳家喜多八師匠の独演会のチケットを購入するに至りました。

喜多八膝栗毛

私が喜多八師匠の何に魅せられたかといえばまず、声! 大事なことだと思うんですよ。話芸ですから、声の好みっていうのは非常に重要。これがまた色っぽさと飄々とした軽さを兼ね備えたいい声なんです。あと、イケメンであること! お着物ももちろんお似合いですが、トレンチコートとボルサリーノが似合うダンディで甘いマスク。あの瞳で見つめられたらご婦人はもう、たまらないですよ。ダンディな声とダンディな顔のコンビネーション、バッチリです! あとはウィキペディアの文章を引用するならば、

渋みのある声質ながらとぼけた雰囲気を持ち、出囃子からけだるい雰囲気で座布団に座り、一見やる気のない枕から、いつの間にか熱演に引き込み、爆笑をさそう

といったところです。そうなんですよ、初めて喜多八師匠の音源を聞いた時に「あんなしんどそうな枕から、こんなメリハリの聞いたパワフルな噺ができるなんて」と驚いたものです。そしてとぼけた中に皮肉がぴりっと効いた枕。私はとても好みです。 続きを読む 「待ってました!」の声響く 柳家喜多八 独演会 “喜多八膝栗毛 冬之寿(ことほぎ)”

HONDA MONKEY

ずっと玄関に置きっぱなしにしていた70年代のモンキーZ50J、通称4Lモンキーってやつですが、このバイクは1番付き合いが長く当時行きつけのバイク屋さんでフレーム とエンジンをもらって組み立ててからもう四半世紀になります。まぁまぁマニュアルクラッチにしたりボアアップ、ハイカム、足を延ばしてみたり……などなど、いろいろカタチを変えながら今はZ50Z仕様になってますが。 モンキークルージンなどの雑誌にも載ったことあるんですよ^^。かなりボロボロですが愛着があります。そろそろ乗ろうとおもい年末からタイヤを替えたりプチメンテ。

ボロボロだけどかわいい愛車モンキー

動くようになったので久しぶりの出動。モンキーってこんなに小さかったっけか?怖えぇ(;゚Д゚)です。帰りになって問題発生!朝は気づかなかったんだけど、どーやら配線リークしてるっぽい。ライトやらウインカーやら全部点灯してるw アースかな? 帰りは電車(;´Д`A  でした、トホホ、配線やり直しですね〜。

当店では、バイク関係の雑誌やムックの買取大歓迎です。パーツなどもご相談に乗ります!出張買取も承りますので、お気軽にお問い合わせください。

11月後半

あっという間に今年も終り……、なんてなことを毎年この時期に言ってるような気がします 笑。すっかり肌寒くなってきて年末感が日に日に強くなるこの時期、嫌いじゃないですよ。さーて、今年初めに立てた目標の何割を達成できたでしょうか? 全くですね……、残り一ヶ月! 少しでもやり残したことをやらないとなぁ〜、といいつつ今日もぐっすり布団で眠るのでした。

愛車のCB750FOURもエンジンが寒くてかかりません 汗。そしていよいよ今年初のタイツを履きました。
愛車のCB750FOURもエンジンが寒くてかかりません 汗。そしていよいよ今年初のタイツを履きました。

さてさて、今年中の蔵書の整理、どうぞお早めに! ご相談くださいませ!

下総三山の七年祭り -磯出式-

先日、店員Sが下総三山の七年祭りの記事を書いておりましたが今回は私がその続編を。9神社の神輿が集まる「七年祭り」が終ると、今度はその深夜から朝にかけて幕張近辺の4神社の神輿が集まる「磯出式」という神事が行われます。今回はじめて足を運びましたがいつも見慣れた幕張の下町がなんだか神聖で別の世界に来たような……そんな感覚におそわれました、竹で組まれた大きな囲い(金網デスマッチのリングを想像してください)の中にに鎮座する神輿の夜の美しさと、夜中にこだまする声とお囃子、きれいで、なんだかちょっと恐いような‥‥感動しました。

磯出式
深夜2:00〜4:00にピークをむかえる「磯出式」、感動します。

私は幕張に来て20年を越えましたが古くからこの地域に根を張って生きている地元の人々がこんな時とても羨ましいのです。私の東北の故郷でも地元に古くから伝わるお祭りがあります。フンドシ一丁で神輿を担いだまま深い川にジャブジャブ入って行くというもの 笑。昔、父が川に入っているのを見て「うわ〜」っとおもっておりましたが今おもうと羨ましいですね。実家に帰りたくなってきました 涙。そんなわけで地元の若い人達はこうゆう行事を誇りにおもって積極的に参加してほしいものですね!また6年後がたのしみですね。