新年あけましておめでとうございます。とは言うものの、もう年越しから幾日か経っております。届いた年賀状の返事はまだ書けていません。筆無精の店員Tです。本年もよろしくお願いします。
新年といえば初笑い、ということで1月6日に落語家柳家喜多八(やなぎやきたはち)師匠の独演会を見に銀座博品館劇場へ行ってきました。
落語が面白そうだということに感づいたのが去年の夏の終わりぐらい、ついこないだなんですが、動画や音源など残っている作品に触れることはあってもなかなか寄席に行くことは初心者にはハードルが高く思えました。しかし新宿末廣亭という寄席では土曜の夜に「深夜寄席」があって、二つ目(落語家さんの階級。「見習い」「前座」「二つ目」「真打ち」の順に上がっていく)の落語家さんのネタを4人分楽しめて500円という魅力にやられ、昨年の秋に私は初めて寄席を体験したのです。深夜寄席に通ううち、ある回で「熊の皮」という噺を初めて聴き、気になって「熊の皮」を調べたところ、柳家喜多八師匠の高座を発見、その面白さの虜になりました。
「深夜寄席」はワンコインという安さと、仕事帰りにいける時間帯という魅力があるのですが出演する落語家さんは全員「二つ目」です。もちろん「二つ目」でも面白い落語家さんはたくさんいらっしゃいますが、やはり「真打ち」の話芸を楽しんでみたい、見るのであれば惚れた師匠の独演会が見たい、ということで柳家喜多八師匠の独演会のチケットを購入するに至りました。
私が喜多八師匠の何に魅せられたかといえばまず、声! 大事なことだと思うんですよ。話芸ですから、声の好みっていうのは非常に重要。これがまた色っぽさと飄々とした軽さを兼ね備えたいい声なんです。あと、イケメンであること! お着物ももちろんお似合いですが、トレンチコートとボルサリーノが似合うダンディで甘いマスク。あの瞳で見つめられたらご婦人はもう、たまらないですよ。ダンディな声とダンディな顔のコンビネーション、バッチリです! あとはウィキペディアの文章を引用するならば、
渋みのある声質ながらとぼけた雰囲気を持ち、出囃子からけだるい雰囲気で座布団に座り、一見やる気のない枕から、いつの間にか熱演に引き込み、爆笑をさそう
といったところです。そうなんですよ、初めて喜多八師匠の音源を聞いた時に「あんなしんどそうな枕から、こんなメリハリの聞いたパワフルな噺ができるなんて」と驚いたものです。そしてとぼけた中に皮肉がぴりっと効いた枕。私はとても好みです。 続きを読む 「待ってました!」の声響く 柳家喜多八 独演会 “喜多八膝栗毛 冬之寿(ことほぎ)”