「セルフビルド」は単なる建築様式ではなく、精神のあり方。石山修武・中里和人『セルフビルドの世界 家やまちは自分で作る』

もともと9坪ハウスを可愛いと思っていて、先日、鴨長明「方丈記」やソロ―「森の生活」を知ってセルフビルドやスモールハウスへの興味再燃、そのタイミングでこの書籍と出会いました。

『セルフビルドの世界 家やまちは自分で作る』(石山修武、中里和人/ちくま文庫/2017年)

松浦武四郎の一畳敷や、基礎工事なしの住居、自作キャンピングカー、トタンでできたバーから、果てはホームレスの移動式住居、庭や玄関にアレな感じのオブジェが乱立する偏執的アウトサイダー・アートな家まで、様々なセルフビルドを紹介した本です。

けしてスモールハウスや自作建築のカタログではありません。もっと観念的にセルフビルドを捉えた本であり、そういうものだと分かった上で購入しました。あえて言うなら、「セルフビルド精神を持った人たち」のカタログです。アカデミックだったりフリーキーだったり、硬軟織り混ぜてサブカル的に楽しめる方に良いかと思います。

長期に渡って連載されていたものらしく、ネタ切れを防ぐためか「セルフビルド」の解釈をやや拡大させて「建築」から外れたカテゴリのものも取り上げています。

以下、心に残った部分を引用します。

建築家である著者にとって、
"セルフビルドとは自己構築である。まず何よりも自分世界を構えようとする意志なんである"とのこと。
理想的には"アマチュアが寄り集まって集団で、現在の市場経済とは別のシステムでモノを作ること"

"家は最大級の商品であるから銀行から多額の借金をして、それでほぼ一生かけてその返済をするものだとも考えている。誰もそれを疑わない。新興宗教のようにそれを信じている。(中略)一生をかけてそれに帰依するのだから、家は新種の神の似姿のようになっている"

※ 引用符内はすべてちくま文庫「セルフビルドの世界 家やまちは自分で作る」(石山修武 著)より引用

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投稿者:

店員T

基本なんでも広く浅く。たまに楽器も触ります。