少年マンガ趣味を持ち続けたマニアな大人たちへ「少年なつ漫王」

マニアの、マニアによる、マニアのためのマンガ同人誌……今回は「少年なつ漫王」をご紹介いたします。

少年なつ漫王横山光輝桑田次郎小沢さとる石川球太貝塚ひろし等、昭和30~40年代周辺の懐かしの漫画作品を精力的に復刻・販売しているアップルBOXクリエートが、1988年に創刊したのが「少年なつ漫王」です。アップルBOXクリエートの代表・高橋氏がマニア界では有名で、特に横山光輝「鉄人28号」関連のコレクションは相当なものであったとか。そんなマニアの中のマニアが、同じマニアの為に発行している雑誌ですから、パラパラとめくっただけで “一見さんお断り” の店のような、にわかファンにとっては敷居の高い雰囲気が漂っています(マンガ作品自体は誰もが楽しめるものですよ、念のため)。だからこそ真のマニアにとっては胸躍るような情報がてんこ盛りなワケです。

当初はパロディマンガ作品がメインに収録されたものでしたが、その後過去の漫画作品の誌上復刻や仔細な資料集、作家別の特集を組むなど内容がぐんと充実し、時には漫画だけに留まらない、当時の少年誌に掲載されていた広告の復刻、めんこ遊びやチャンバラ映画、駄菓子・おもちゃなど “懐かしの少年時代文化” にも触れた面白い記事も収録されています。

子供心を持った大人……どころではなく、マンガ趣味をこじらせた結果立派なマニアになってしまった人、もしくはそうなりたいと思っている人(そんな人いるか? 笑)にオススメです。

当店では、懐かしマンガ等の買い取りなども承っております。出張買取のご用命など、お気軽にお問い合わせください。お待ちしております!

『ジゼル・アラン』ー優しい話、繊細な絵

漫画に求められるのは、勿論ストーリーの面白さですが、絵の雰囲気も重要なファクターですよね。漫画として優れている作品というのは、話と絵の雰囲気がぴったり合っている作品であるような気がします。

ジゼル・アラン 第1巻 / 笠井スイ / エンターブレイン / 2010
ジゼル・アラン 第1巻 / 笠井スイ / エンターブレイン / 2010

さて、話の面白さもさることながら、そんな「話と絵の雰囲気の親和性」という点で最近私が感動したのがこの『ジゼル・アラン』です。アパートの大家であり、じつは名家のお嬢様でもある少女ジゼルが、周囲の助けを借りながら「何でも屋」として成長してゆくお話。どこか上品で、優しく温かみのある作品なのですが、その温かみを表現するのに、絵の雰囲気が一役も二役も買っているのです。

とても繊細で、とにかく描き込みの密度が凄まじい!! 草花や洋服のディテール、レンガのざらざらした質感や木造の船の木目、果ては煙突の煤汚れまで、ひとつも手を抜かず、一コマ一コマ大切に描いているのが伝わってきます。登場人物の表情も、笑顔、泣き顔、照れ笑い、悔し涙、すべてにありったけの感情がこめられているよう。その感情に引っぱられて、読んでいるうちに彼ら彼女らがとても愛おしくなってきます。

優しい話と、繊細で気品のある、丁寧に描かれた絵。そのふたつが組み合わさって、うっとりしてしまうほど素敵な作品に仕上がっているのです。

当店では、漫画の単行本の買取りを承っております。出張買取も行っていますので、お気軽にお問い合わせください

青春の賛歌―『啄木歌集』

石川啄木というと、あの有名な「働けど働けど~」という短歌のイメージがやはり強いのではないかと思います。もちろんあの歌も素晴らしいのですが、あれはどちらかと言えば大人になってから共感できるようになる歌。はじめて啄木に接した小学生や中学生時代、どこかとっつきにくく感じ、そのまま啄木から離れてしまった人もいるのではないでしょうか(と、いうか私がそうだったのですが…… )。

新編 啄木歌集 / 石川啄木  / 岩波書店 / 1993
新編 啄木歌集 / 石川啄木 / 岩波書店 / 1993

しかし、啄木を食わず嫌いしてしまうのは勿体ない!! じつは、彼の作品は「青春の賛歌」とも称され、恋の歌なんかもたくさん歌っているのです。

「眼とぢて立つや地なる骸の世辿る暫しの瞬きよ恋」や、「いつはりて君を恋しといひけるといつはりて見ぬ人の泣く日に」。「はなやかに物いふ人も手をとれば仄にうつむくをかしき夕べ」は情景がふっと目に浮かぶようですし、「人ひとり得るにすぎざることをもて大願とするあやまちは好し」なんて、とても粋ですよね。

私が一番好きなのは、「春の日は今日ゆかむとす君を見てわれ落涙す故を知らずも」なのですが、恋の歌ととっても、そうでなくても、しんと沁みわたる儚く美しい歌だと思っています。

啄木は暗いし難しそう……という先入観を取り払って歌集をめくってみると、きっとお気に入りの一首に出会えることでしょう。

当店では、岩波文庫の黄帯・緑帯の買取りを承っております。出張買取も行っていますので、お気軽にお問い合わせください

『松田優作+丸山昇一 未発表シナリオ集』

松田優作さんが若くして亡くなられたために映像化されなかった6本の作品のシナリオ集です。松田優作さんの出演作はドラマの「探偵物語」「太陽にほえろ!」や映画の「家族ゲーム」「ブラック・レイン」など今でも凄く面白く、衝撃的な作品が多いですよね。もし生きていたらこの本のシナリオも傑作になっていたでしょうし、もっとたくさんの作品が生まれていたと思うと本当に残念です。

松田優作+丸山昇一 未発表シナリオ集 / 幻冬舎 / 1995
松田優作+丸山昇一 未発表シナリオ集 / 幻冬舎 / 1995

当店では、松田優作や黒澤明など映画関連の書籍も買取り大歓迎です。どうぞお気軽にご相談、お問合せください!

桜庭一樹『青年のための読書クラブ』―乙女魂のクロニクル

桜庭一樹といえば、直木賞を受賞した『私の男』を思い浮かべる方が多いと思います。しかし私にとって彼女は「少女の季節」を描き出す作家としての印象が強く、『青年のための読書クラブ』は殊にそれを感じさせる作品です。

青年のための読書クラブ / 桜庭一樹 / 新潮社 / 2011
青年のための読書クラブ / 桜庭一樹 / 新潮社 / 2011

物語の舞台は歴史ある女学校。伝統と格式、そしてプライドに凝り固まったお嬢様達の中、はみだし者の集まりである読書クラブが巻き起こす、まさに「小説の如き」事件の数々が描かれます。文庫本カバーの紹介文から引用させていただくと、「あらぶる乙女魂のクロニクル」。

それぞれの事件はエドモン・ロスタンの『シラノ・ド・ベルジュラック』やシェイクスピア『マクベス』、ホーソンの『緋文字』やバロネス・オルツィ『紅はこべ』等がモチーフとなっていて、「この小説が桜庭節をきかせるとこうなるのか!!」と思わず感嘆のため息がもれます。

この物語に登場する少女達があまりにもマイペースに学園生活を謳歌しているだけに、読み返す度「女子校に通ってみたい衝動」が噴出してしまうのが困りものです。もう無理だというのに……。

当店では、小説や文庫本の買取りを承っております。出張買取も行っていますので、お気軽にお問い合わせください!!