桜庭一樹『青年のための読書クラブ』―乙女魂のクロニクル

桜庭一樹といえば、直木賞を受賞した『私の男』を思い浮かべる方が多いと思います。しかし私にとって彼女は「少女の季節」を描き出す作家としての印象が強く、『青年のための読書クラブ』は殊にそれを感じさせる作品です。

青年のための読書クラブ / 桜庭一樹 / 新潮社 / 2011
青年のための読書クラブ / 桜庭一樹 / 新潮社 / 2011

物語の舞台は歴史ある女学校。伝統と格式、そしてプライドに凝り固まったお嬢様達の中、はみだし者の集まりである読書クラブが巻き起こす、まさに「小説の如き」事件の数々が描かれます。文庫本カバーの紹介文から引用させていただくと、「あらぶる乙女魂のクロニクル」。

それぞれの事件はエドモン・ロスタンの『シラノ・ド・ベルジュラック』やシェイクスピア『マクベス』、ホーソンの『緋文字』やバロネス・オルツィ『紅はこべ』等がモチーフとなっていて、「この小説が桜庭節をきかせるとこうなるのか!!」と思わず感嘆のため息がもれます。

この物語に登場する少女達があまりにもマイペースに学園生活を謳歌しているだけに、読み返す度「女子校に通ってみたい衝動」が噴出してしまうのが困りものです。もう無理だというのに……。

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