レイ・ブラッドベリの名は知っていても、作品を読んだことはない、という人は案外多いのではないでしょうか。かくいう私もその一人だったのですが、これはいかんと思って高校3年生のとき受験勉強の合間に『10月はたそがれの国』を読んでみました。感想は、面白い、けどどうもピンと来ない、というもの。アメリカンジョークというか、あの独特の言い回しが少しとっつきにくかったのです……。それ以来、ブラッドベリからは遠ざかってしまっていました(今思うと、もったいないことをした……)。
時は移って大学1年生。萩尾望都の漫画を読みあさっていた私は、彼女がブラッドベリの大ファンであると知ります。そしてもう一度ブラッドベリを読んでみよう、という気になったところで、大学近くの書店に平積みされた本の帯が目に飛び込んできました。
「200年後の地球でも、きっと読まれる物語。」
その謳い文句のインパクト、そして表紙のデザインが気に入ったこともあって迷わず購入し、帰りの電車の中で一気読み。結果わかったことは、どうもブラッドベリの作品には自分の好みに合うものと合わないものが半々くらいであるらしいぞ、ということでした。
この『バビロン行きの夜行列車』でいうと、「分かれたる家」「目かくし運転」あたりはあまり好きになれなかったり面白さがいまいちわからなかったりしたのですが、「やあ、こんにちは、もういかないと」「窃盗犯」「夏の終わりに」「覚えてるかい? おれのこと」などはもう好みドンピシャを突いてきました。「夏の終わりに」なんかは脳内で萩尾望都の絵に変換して読むといい具合に余韻に浸ることができておすすめです。
ブラッドベリをまだ読んだことがない人にも、私のように別の作品を読んであまり気に入らなかったという人にも、もちろんブラッドベリファンにも、ぜひ読んでもらいたい一冊でした。
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