古来さまざまな哲学者によって語られてきた孤独の受け止め方から、コロナ禍以降の現代の孤独をどう乗り越えていくか、そしていつか必ずやってくる絶対的な孤独・死をどう見つめるか…
日本のアドラー研究の第一人者であり、「嫌われる勇気」がベストセラーとなった岸見一郎さんの、2022年版アップデートされた孤独論です。三木清の著作から多く引用されています。
自分軸をもちながら、傷つくことを恐れず、仲間だと感じられる人と関係を気づいていくこと。未来も死も、「先のことはわからない」という点で同じであるならば、やはり今にスポットを当てて生きなければならないこと。好きでやりたいことがあり、やらなければ気が済まないことならば、他人の評価を気にせずやること等、あらためて大事だと感じられるメッセージがあります。
とくに頭にのこったのは、岸見さんと彼の父親とのエピソード。最初はうまくいってなかった関係が、介護を通じて向き合いながら、お互いに作用しあって信頼し合えるようになるまでの模様が淡々とリアルに描かれています。この岸見さんと父親との関係で一冊エッセイ書いてくれると嬉しいなあ。