百貨店ワルツ―モダンでロマンティックな夢の空間


イラストレーター、マツオヒロミさんをご存知でしょうか?  もともとイラスト本でコミックマーケット等に参加していた方で、和色を多用しながらも地味にならない色使いや丁寧に書き込まれた小物に背景、艶やかであったり幼さをのこしていたり凛としていたりと多様な女性の肖像で人気を博しています。

今回ご紹介するのは、そんな彼女の商業デビュー作『百貨店ワルツ』です。

百貨店ワルツ / マツオヒロミ / 実業之日本社 / 2016
百貨店ワルツ / マツオヒロミ / 実業之日本社 / 2016

タイトルからして、思わずわくわくしてしまうような独特の雰囲気漂うこの本。架空のお店「三紅百貨店」のガイドブックのような内容になっており、1Fは服飾雑貨部で扇や懐中時計のカタログと忘れ物をしたお客様を探す店員の漫画、2Fは美粧部でコスメ雑貨の案内とはじめてのお化粧品を買いに来た少女たちの漫画……といった具合に、取り扱われているお品物やイベントの宣伝ポスターが並ぶイラストページと数ページの短編漫画で各階のコーナー(章のようなものです)が構成されています。現実にこんな百貨店がのこっていたら一も二もなく訪れるのに……と、読後に思わずため息をついてしまうくらい、どのコーナーも素敵。

表紙を捲るとあらわれる遊び紙が作中に登場する包装紙の簡易版であったり、レトロなフォントがふんだんに散りばめられていたりと装丁も贅沢です。フォントマニアは文字を眺めているだけでも楽しめるかもしれません。ひと昔前の雑誌やレトロな喫茶店の看板に用いられているようなやや自己主張の強いものから、シンプルながらさり気なくお洒落なものまで、場面に応じて使い分けられていて、美麗なイラストといっしょに目を楽しませてくれます

この作品の着想を得たという大丸心斎橋店は海外の建築家の方がデザインされたそうで、須賀敦子さんがどこかに、良い建築には思想が染みこんでいるものだ、というような趣旨のエピソードを記されていたことをぼんやり思い出しました。そうして完成した建物には、やはり芸術家に一種の霊感を与えるものがあるのでしょう。銀座あたりについつい足を運びたくなってしまいます。

イラストがお好きな方、漫画がお好きな方、デザインやファッションがお好きな方、ショッピングや百貨店そのものがお好きな方、モダンなもの・ノスタルジーを感じさせるものがお好きな方……さまざまなお方におすすめできる1冊です。

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店員N

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