日本ポップス史のトリック・スター、近田春夫の名仕事。VIBRASTONE歌詞集『VIBE RHYME』(サイン入り!)

今年で66歳になる近田春夫という人をご存じの方は、彼が何をやっている人間か、という質問に対してどう回答することでしょうか。国内外のポップスに造詣が深いミュージシャン、最近ではPerfumeもカバーした名曲『ジェニーはご機嫌ななめ』でおなじみジューシィ・フルーツの生みの親、『考えるヒット』の著者、たまにTV番組『タモリ倶楽部』に出てるおじさんタレント……その活動スタイルはまさに百面相。

マルチな才能を持つ近田春夫のキャリアのスタートは、1970年代初頭まで遡ります。当時はグループ・サウンズ(GS)流行の末期。彼はロック・パイロットというGSグループや羅生門というバンドに参加し、そして1972年、自らの名を冠した近田春夫&ハルオフォンを結成。歌謡曲をカバーした3rdアルバム『電撃的東京』で歌謡曲の新解釈を世の中に提示することに成功しました。そして1979年に近田春夫&BEEFというバンドを結成、ほどなくして同バンドを発展的解消させて、ジューシィ・フルーツというバンドに作り変え世の中に送り出し、プロデューサーとしても成功をおさめます。その後も近田春夫&ビブラトーンズ、ヒップホップに接近しPresident BPMとしてラップに挑戦、NO CHILL OUTという名義でゴアトランスにも手を出し、テクノ・トランス・プロジェクトRiceなど、幅広いボーダーレスな活動を今も続けています。同時に70年代から雑誌やラジオ、テレビ等メディアにも登場し、歌謡曲への造詣の深さや芸能に対する辛口評論で、作品だけでなく彼の人となりも注目されました。

VIBRASTONE(ビブラストーン)

その膨大な量の彼の仕事の中でも、個人的に白眉であったと思うのが1980年代後半から1990年代中盤まで活動した人力ファンクヒップホップバンド、VIBRASTONE(ビブラストーン)です。ホーンセクションを従えた大所帯のビッグバンドから生み出されるダンサブルな演奏と、政治・社会・メディア・世間に対する痛烈な批判性を持った歌詞の奇跡のマッチング。音・詞、どちらも単体としても十分に魅力的なものでした。

レコード会社の自粛により、VIBRASTONEのCDには歌詞が記載されませんでした。今回紹介する『VIBE RHYME』は、それらが歌詞集として1冊にまとめられ1994年に刊行されたものです。メッセージの活字化は、音にのせて伝わるのとまた違った歌詞の味わい方を教えてくれます。

VIBE RHYME / 近田春夫 / アイ・セクション / 1994年

その批判性のある歌詞は、VIBRASTONE結成直前の1985年に、近田春夫がPresident BPMとしてリリースした楽曲、『Mass Communication Breakdown』ですでに萌芽が見られます(『VIBE RHYME』にも収録)。マスコミに対する皮肉がこめられています。

少年たちの大好きな のぞき見ばっかの最低のT.V.ショウ ボクのまわりじゃ誰も見ない

最低のT.V.ショウ 最低のT.V.ショウ

(中略)

ホントーのタブーに挑戦してみてよ そしたらボクも応援するから

President BPM『Mass Communication Breakdown』(近田春夫『VIBE RHYME』収録)

数年前に、迫る2016年の改正風営法の施行により、クラブやライブハウスの営業・存続について巷で騒がれたことは記憶に新しいですが、VIBRASTONEは1987年の時点で当時の風営法について批判をしています。

土曜とか金曜とかの夜ぐらいはさ 少しくらいハメをはずしたっていいじゃないさ

十二時で終わるディスコなんてバカみたいじゃんさ

刑務所に入ってまで踊りたいなんてさ

そんなヤツがいるワケなんてねぇんだからさ

ハッキリ云ってひどい法律だと思うワケだからさ

(中略)

Hoo! Ei! Ho! は今世紀最後の禁酒法ってことさ

本気で守っちゃソンするバカだよそんなの見つからなきゃいいんだから

VIBRASTONE『Hoo! Ei! Ho!』(近田春夫『VIBE RHYME』収録)

そして1963年に当時の政策に対する抗議の焼身自殺をしたベトナムの僧侶ティック・クアン・ドックに向けられた、政権側の人間が発したショッキングな言葉を冠した楽曲『人間バーベキュー』の歌詞がこちら。体制への批判にあふれています。

政治家は名誉が大好き ボランティアーはやらない

(中略)

ほんとは奴隷がほしい

ほんとは差別していたい

ほんとはあいつころしたい

VIPでえばりたい

(中略)

フジだって朝日だってガスだって歌手だって

医者だって坊主だって神様だって

子供にあとを継がせるってことは おいしいからってことだぜ OK!

火炎放射器 このぐらい文句ないはずだ

動くな! 天国と地獄どっちへいきたい

人間バーベキュー

やわらかいしおいしいし黒焦げなら癌になる

オレの好きなバーベキューこの肉には味がある

VIBRASTONE『人間バーベキュー』(近田春夫『VIBE RHYME』収録)

VIBRASTONEの作品には、社会を皮肉った批判的な歌詞が痛快でありながら、聴いているリスナーへも疑問を投げかけ価値観に揺さぶりをかけるような歌詞が、この記事では到底紹介しきれないほどたくさんあります。興味が湧いた方はぜひ『VIBE RHYME』でその歌詞に触れてほしいですね。もちろん、サウンドも語り尽くせないほどファンキーでカッコイイですし、歌詞+音で完全な形になるわけですから、CDもチェックしましょう!

今や、批判性のあるバンドは国内外にたくさん存在します。ヘビーでエッジのきいた重厚なサウンドにのせて、過激な政治的メッセージを盛り込んだ歌詞を叩きつけるように歌う、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのような音も詞も攻撃性の高いバンドと比べてしまうと、VIBRASTONEのサウンドは軽くて聞きやすく、ボーカルも抑揚はありますがそこまで感情的ではありません。ともすればユーモラスであるかのように感じる可能性もあります。実際VIBRASTONEを初めて聴いた時に私はそう感じました(1980年代当時、リアルタイムでVIBRASTONEのサウンドその他がどう受け取られたのか私にはわかりませんが)。しかし、ポップでユーモラスな外皮をむくと中から猛毒の種子が顔を出すという、だからこそ毒性がより際立つような、新鮮な驚きがVIBRASTONEにはありました。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンを知ったあとで聴くと、ひねりの利いた変化球のような面白みを感じたのは事実です(余談ですがレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンは、先述の焼身自殺の僧侶ティック・クアン・ドックの写真を1stアルバムのジャケットに使用しています)。

近田春夫氏サイン入り。

実はこの『VIBE RHYME』、近田春夫氏のサインが入っている代物なんです! ただいまヤフオク!に出品中ですので、ご興味ある方はこちらからアクセスしてください。よろしくお願いします!(出品終了いたしました。誠にありがとうございました!)

古本屋 草古堂は、音楽関連書籍なども出張買取しております。古本の整理や処分でお困りの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください

ウルトラマン、バイ菌軍団、怪獣、etc……懐かしの消しゴムおもちゃ、ヤフオク!に出品中

キン消しガン消しスーパーカー消しゴム怪獣消しゴムに代表される、懐かしの消しゴムおもちゃをヤフオク!に大量出品いたしました。ウルトラマン消しゴムの大量セットや大相撲力士消しゴム仮面ライダー消しゴムDr.スランプアラレちゃん消しゴムなど、少年・少女時代を思い出す昭和レトロな商品をご用意いたしましたので、ガチャガチャを回す感覚が手に蘇ってきた方はぜひ、こちらの草古堂のヤフオク!ページにアクセスしてください(すべての商品が出品終了になりました、ありがとうございました! )。

中でもイチオシの商品はこちら!

バイ菌軍団 消しゴム。ほぼほぼ『暴走族シリーズ』です。

墨田区の下町で日本の玩具業界を支え続ける老舗メーカー・今野産業から発売された、バイ菌軍団消しゴム! キモカワいい造形と背中についた吸盤が特徴のバイ菌たちのカプセルトイです。無造作に吹き付けられたスプレー塗装は、そういう仕様。背中の吸盤で遊ぶだけのものから、戦車と合体できる戦車部隊シリーズ、バイクに跨がれるように脚が長くなった暴走族シリーズ、なぜかバイ菌たちがマイクを持っているカラオケシリーズや、ヘッドフォンを装着しているヘッドフォン族シリーズなど、さまざまなシリーズが展開されました。これらのオリジナリティが魅力となって、今もマニアの間で人気を誇っています。バイ菌軍団が気になった貴方はぜひ、こちらのページ(ヤフオク!)でバイ菌軍団の世界に触れてみてください。よろしくお願いします!(すべての商品が出品終了になりました、ありがとうございました! )。

古本屋 草古堂は、本だけでなく懐かしの玩具なども買い取りいたします。買い取ってほしい玩具などがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください

古本出張買取例:ビジネス書、HOW TO、英会話、ノンフィクション、新書など@東京都墨田区

ビジネス書を中心に、HOW TOものやノンフィクションなど近年の出版物が入荷しております。この辺のジャンルは一部を除いて新しさが命みたいなところがありますね。内容がナマモノなものほど時間が経つにつれて需要が少なくなってしまいますので古本の整理や買取をお考えの方はどうぞお早めに!

ビジネス書、ノンフィクション、新書などなど

古本屋 草古堂は、単行本や文庫、新書の出張買取を積極的に行っておりますので、古本の整理や処分でお困りの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください

古本出張買取例:はだしのゲン、銀牙、生徒諸君など定番コミック@東京都墨田区

定番コミックセット、いろいろ入荷しております。コミックは時間が経ってしまい相場が下がってしまうものもあれば、いつまでも鉄板モノであり続ける王道作品もあります。また文庫化することによって息を吹き返す作品もありますね! 『銀牙』は当時リアルタイムで読んでましたな、おじいさん、コワイんだよなー、動物マンガの定番ですね。

コミックセットいろいろ

「はだしのゲン」、今の子供にぜひ読んでもらいたいマンガ作品の一つですね。

古本屋 草古堂は、コミックの出張買取を積極的に行っておりますので、古本の整理や処分でお困りの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください

古本入荷情報:『80'sガールズ大百科』―おとめちっくよ、もういちど―

以前、店主も草古堂ノートに取り上げていましたが、80年代のカルチャーを紹介した本が増えてきましたね。なかでも80年代に少女時代を送った方なら懐かしくて身悶えてしまいそうな本が幕張店にて入荷いたしました!

80'Sガールズ大百科 / 実業之日本社 / 2014

まずはとじ込みふろくの「サンリオキャラクターかるた」から始まり、少女漫画の金字塔『ときめきトゥナイト』特集、『りぼん』『なかよし』『ちゃお』お宝ふろく特集、ゴロピカドン・けろけろけろっぴ・みんなのたあ坊などのサンリオ特集、クリィミーマミ・ミンキーモモなど魔法少女アニメ特集、80's少女小説クロニクルなどなど、他にも昔少女の琴線に触れまくる企画が盛りたくさんです。

店員Kは他の雑誌にいっさい浮気をしない生粋の「りぼんっ子」だったので、とくに『りぼん』のふろく特集が楽しくて、ページ数が足りなく思えるくらいでした。

唯一捨てられず、現役で使っているファイル!当然、ボロボロです笑

当時はとくに深く考えず「今月のこのふろくかわいいじゃーん」くらいにしか考えてなかったんですが、レターセットや組み立て式の小物入れなどのBOXもの(入れるものもそれほどなかった気がしますが作りまくりました)など、今改めて見るとイラストも細々とものすごく手が込んでいて、作り手の熱意や愛情を感じます。当時の雑誌の売り値を考えるとなんだか申し訳ないですね……汗。

古本屋 草古堂では、さまざまなジャンルのムック本や特集号を取り扱っております。どうぞお問い合わせくださいませ。