ディズニーのアニメーション映画をはじめとして、さまざまなメディアで展開し、今なお世界中の人々に愛されている『不思議の国のアリス』。このお話はもともと、作者ルイス・キャロルが、たったひとりの女の子アリス・リデルのために即興で作ったものでした。
どこまでも「少女」という存在を愛し、彼女たちを、物語の主人公ばかりでなく、写真の被写体にもしばしば選んだキャロル。そんなキャロルが、作家仲間の娘や自身の作品の愛読者など、じつに多くの少女に宛てた手紙を集めて編まれたのが、今回紹介させていただく『少女への手紙』です。

扉ページをめくると、そこにはまず物腰に品のあふれる男性の写真。キャロル25歳のときのものです。次のページからはキャロルの撮影した少女たちの写真が並び、その次に遊び心満載のアクロスティック(折り句)、そして目次、本文、いえ、本手紙? とつづきます。
相手が少女であろうと容赦のない、けれどからかうような優しさの感じられる、ウィットに富んだ手紙には、キャロルの人柄がそのまま表れているよう。宛先によって態度がすこしずつ違っているのも、それぞれの少女とキャロルの関係性を想像する楽しみをあたえてくれます。勝手に想像される側からすると業腹かもしれませんが、そこは許してもらえることを祈りましょう。
温かな愛情にあふれ、読んでいて自然と微笑が浮かんでくる。そんな陽だまりのような、まさに「黄金色の昼下がり」(キャロルがアリスらリデル家の三姉妹とボートに乗り『不思議の国のアリス』を生みだした日の陽気は、このように表現されます)のような一冊です。
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高楼方子さんの児童文学『時計坂の家』と出会った時のエピソードもまた興味深いです。主人公フー子が祖父の家の扉から異世界へと迷い込む……というファンタジー小説なのですが、作者はとりつかれたようにのめり込み、図書館で借りた本だったため返却しては司書さんが本棚に戻した瞬間を柱の影からじっと見守りダッシュ!でまた借り直すという荒技を十数回繰り返したという……。今考えると迷惑な行為だったと綴っていますが、ここまで夢中になれる本に出会えるというのはとても幸せですね。


