筆不精って治らないものですね。店員Tです。
時が経つのが早くなったもので、気がつけば前回のブログ記事投稿から1年が経っていました。歳を取ると時の流れが早く感じるといいますが、特にこの一年は年明けからの新型コロナウイルスの大流行により、"失われた1年"になったおかげであっという間に11月です。またぼちぼちブログ投稿していきたいと思ってはいるんですが……
写真展が好きでよく見にいくのですが、やはり気に入った展示会や作者のものは図録が欲しくなります。しかし写真展図録・写真集は判型が大きくなりますよね。判型・サイズはその写真の情報量にモロに影響します。写真については「大きいことはいいことだ」と思っていて、だからこそ展示会で大きく引き伸ばされた写真を見たいのですが、本は家で読むより持ち歩いていたい気持ちが私はあるので文庫サイズの写真集はとてもありがたいです。
今持ち歩いているのは、ちくま文庫の『木村伊兵衛 昭和を写す 2 よみがえる都市』です。
やっぱり昭和の町並みってフォトジェニックなんですよね。令和の今に生きている私がどうしたって現に触れることのできない過去の町や人びとって、もはやファンタジックですらあります。幻想的でありながら「間違いなくそこにいた、あった」という現実としての強い説得力もあって、一枚一枚ながし見ることができない魅力的な写真です。
昭和のこどもたち、バックに写る建物、傘……まるで用意された舞台セットと小道具のようです。隅から隅まで物語があります。切り取られた一瞬のその前後を「こどもたちは兄弟姉妹かな、それともご近所同士かな」「この少女はこの後はにかんだだろうか」等と想像していると時間はあっという間に過ぎています。
ゆっくり写真を眺める時間が日常のすきまにあると、この閉塞した状況の中でもすこしだけ心が豊かになれた気分がします。