『サザエさんえほん』

今もアニメを放送しているサザエさんの漫画は知っていましたが、絵本もあったんですね〜。昭和50年代に発売されたものが、今年になって全9巻で復刻したそうです。アニメとは異なりますが、あたたかく動きのある絵柄が良いです。絵本ですが大人でも欲しくなってしまいます!

へんね おかしいな サザエさんえほん8巻 / 長谷川町子 / 朝日新聞社 / 2015
へんね おかしいな サザエさんえほん8巻 / 長谷川町子 / 朝日新聞社 / 2015

当店では、絵本や児童書の買取りも大歓迎です。どうぞお気軽にご相談、お問合せください!

森茉莉―「老少女」の世界

読み終えたときに、どこか夢から醒めたような気分を味わうことになるのが森茉莉の文章です。

20代ごろから翻訳を発表、50代で作家として知られるようになり、晩年まで活躍を続けた森茉莉の著作は、どれも彼女の溢れんばかりに豊かな感性を伝えてきます。

なかでも、このエッセイ集『贅沢貧乏』にはその魅力が凝縮されています。彼女自身の生活を独自の視点から描いた表題作「贅沢貧乏」や「紅い空の朝から……」、漱石の『我輩は猫である』に着想を得たらしい「黒猫ジュリエットの話」、文壇の人々をユーモアをまじえて描く「降誕祭パアティー」や「文壇紳士たちと魔利」、そして師と仰いだ室生犀星への限りない敬愛の情を感じさせる「室生犀星という男」「老書生犀星の〈あはれ〉」など、こんなに多くの素敵なエッセイを文庫本1冊で堪能できてしまっていいのだろうか……と思わず考えこんでしまうほどです。

贅沢貧乏 / 森茉莉 / 講談社 / 1992
贅沢貧乏 / 森茉莉 / 講談社 / 1992

私は自分(だけ)の部屋というものを生まれてこの方持ったことがないので、この本、ことに「贅沢貧乏」を読むと、自分で作り上げた自分だけの部屋、というものへの憧れが募ります。花と硝子と空想の部屋……いいですね……。

ところで、この本のなかでは、室生犀星=甍四郎、三島由紀夫=真島与志之、といった具合に、登場する人物の名前が変身させられています。そのあたりのこだわりがさすが森茉莉、という感じですよね。正直にいってしまうと、初めて読んだときはそのことに気づけずに、解説を読んで「そういうことだったのか」と納得させられました……。当時の人ならすぐにわかったひねり方のようですが、若輩にはさっぱりです。

巻末の年表に「記憶の中の泉鏡花」というタイトルが含まれているのを見つけ、彼女も鏡花が好きであったらしい(まだ読めていないので勘違いかもしれないけれど)、となんだかうれしくなってしまいました。

作家・桜庭一樹が、彼女の読書日記の中で須賀敦子や岡本かの子らと森茉莉を並べて「老少女」と呼んでいますが、なんてぴったりの表現なのだろうとつくづく感心してしまいます。できることなら、たくさんの美しいものに触れ、たくさんの素晴らしい物語を読んで、彼女たちのような「老少女」に成長したいものです。

当店では、作家のエッセイ集や講談社文芸文庫の買い取り大歓迎です。出張買取も承りますので、お気軽にお問い合わせください

料理本いろいろ

料理のレシピ本はたくさん出版されていますよね。和食や洋食というようなものだったり、カレーやお弁当など、そして減塩料理やダイエット食などより細かいものまで本当にたくさんの種類があります。本を見て美味しそうだと思って、実際に作ろうとするとなかなか難しいものもあるのですが……。でも美味しそうな料理の写真を見るだけでもテンションが上がりますよね!

料理本2

料理本3

当店では、料理のレシピ本などの買取りも大歓迎です。どうぞお気軽にご相談、お問合せください!

シミ、シミ、シミ、

本を開き、コイツがニョロっと出てくると一瞬心臓が止まりそうになります。「紙魚」とはよくいったものですね、まぁ魚に見えないこともない。結構動きは独特で体のクネクネした動きとスルスルと地を這う姿は一貫してスムーズ、ドキッとしたわりにはちょっとながめてしまうカワイイやつ。

魚に見えないこともない1cmの怪物
魚に見えないこともない1cmの怪物

さすがにアップの写真はやめました 笑。

リヒテンシュタイン―華麗なる侯爵家の秘宝

リヒテンシュタイン、という国をご存知でしょうか? 正式にはリヒテンシュタイン公国、スイスとオーストリアの間に位置する小さな国です。そのリヒテンシュタインの元首であるリヒテンシュタイン侯爵家の美術コレクションが、2012年から2013年にかけ、「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」と題して東京・高知・京都の3都市で公開されました。

「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」図録 / 2012~2013
「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」図録 / 2012~2013

絵画や彫刻、家具や陶器など、展示物の種類はじつに様々で、どの作品も繊細優雅。気になる作品の前で足を止めてじっくり眺め、また進んでゆくと、ミュージアムショップに着いた時にはなんと3時間が経過していて、ともに観に行った友人と顔を見合わせて笑ってしまいました。

いちばん気に入ったのは、フリードリヒ・フォン・アメリングの「マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン侯女2歳の肖像」。ほとんど赤ん坊といってもいい幼女が幸せそうに眠っている絵です。ふっくらとした頬が薔薇色に染まっているあたりだとか、わざとらしくなく微かにきゅっと上がった口角だとか、人形をぎゅっと握りしめている様子だとか、どこまでも心を捉えて離しません。幸いにもこの作品のグッズは豊富に揃っており、クリアファイルとポストカードとマウスパッドを購入、今に至るまでずっと使っています。携帯電話の待ち受け画面もこのポストカードを撮影したものなので、友人には「本当に好きだねえ」としばしば呆れられます……。

図録は定価でも(高校生にとっては)高かったので、当時は泣く泣く諦めたのですが、最近古本で発見して迷わず買ってしまいました。開催からしばらく経つ展覧会の図録なので、入手はすこし困難かもしれませんが、収録されているどの作品も本当に素敵でおすすめの一冊です。

当店では、美術展や各種展覧会の図録の買い取り大歓迎です。出張買取も承りますので、お気軽にお問い合わせください