「愛死」とジョン・バリー


先日、近くの映画館で『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を観て来たのですが、劇中のあるシーンで流れていた曲を聞いて思い出した映画がありました。それは『ある日どこかで』という1980年のアメリカ映画なのですが、流れていた曲はその映画のメインテーマだったのです。『バードマン』では舞台役者である主人公が仕事先のパートナーから思わぬ妊娠を告げられるシーンのすぐあとに流れるのですが、なぜここでこの曲が使われたのか、については考えても自分にはわかりませんでした。『ある日どこかで』は大好きな映画で、見た方ならわかると思いますが聴けば必ずこの映画のワンシーンを想起させる名曲中の名曲なので、必ず理由があると思うのですが……。

ある日どこかで/映画パンフレットこの曲を作曲したのはジョン・バリーという映画音楽を多数手がけた作曲家で、『007』シリーズのいくつかや『真夜中のカーボーイ』『野生のエルザ』『愛と哀しみの果て』のサントラなど素晴らしい楽曲をたくさん残しています。とくに『007は二度死ぬ』のテーマ曲は本当に感動的で美しいメロディです。

そのジョン・バリーが音楽を担当した『ある日どこかで』はリチャード・マシスン原作・脚本のSFロマンチック・ラブストーリーで、映画『スーパーマン』で主役を演じていたクリストファー・リーヴが主演しています。主人公の若手脚本家リチャードはスランプの気晴らしにふと立ち寄ったホテルで偶然見かけた1910年代に活躍したある女優の写真に心を奪われます。まさに雷に打たれたように茫然とするリチャード。一目惚れですね、70年も前の写真のヒトに。(このシーンは何度観てもドキドキしますが、撮影時、クリストファー・リーヴは監督に「本番まで絶対にその写真を見せないでくれ」と言って撮影に臨んだそうです。あの表情は演技ではないんですね)

「ある日どこかで」のワンシーン彼女に夢中になってしまったリチャードはなんとか一目逢いたいと願い、ついにタイムトラベルを決行するのですが、その方法が斬新というかなんというか、なにも道具や機械を使わず、必ず逢うんだという思い込みの力だけで成し遂げるのです! これには思わず「エエッ!?」と声が出てしまいました。ただ、布団に入って念じるだけなのです。しかしそれもあり得ると思わせるくらいの迫真の演技です。そしてとうとうタイムトラベルに成功して彼女に初めて逢うシーン、そこで流れるのが今回『バードマン』でも流れていたあのテーマ曲なのです。ジョン・バリーのこの曲なくしてこのシーンは考えられません。このシーンを見た後は大半の人がAmazonでサントラを探すんじゃないでしょうか? それほどの信じがたい感動があります。

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ジョン・バリー入魂の一作。一生の宝物です。

その後、あるミスにより現代へ連れ戻されてしまうリチャードですが、あらゆる方法を試しても二度と過去へ戻れなくなってしまうのです。失意と絶望の中、リチャードはただひたすらに彼女を想いつつ寝食を忘れ眼は虚ろで椅子に座ったまま、時だけが流れていきます。周囲に全く反応しなくなったリチャードに医者もなすすべなく、日に日に衰弱して行きます。最後には幽体離脱し、彼女の霊に導かれて2人で手を取り合って天上へ……。よく「恋い焦がれて死ぬ」とか「愛しすぎて死にそう」とか云いますが、本当に愛しすぎて死ぬ衝撃シーンを初めて見て、頭の中は「愛死」という言葉で一杯になりました。自らの肉体や時空をも超越してしまうリチャードのなんという想いの深さ……。こういう映画を月に1本でも観れたらホント幸せだろうな、と思わせる作品です。

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