『ジゼル・アラン』ー優しい話、繊細な絵

漫画に求められるのは、勿論ストーリーの面白さですが、絵の雰囲気も重要なファクターですよね。漫画として優れている作品というのは、話と絵の雰囲気がぴったり合っている作品であるような気がします。

ジゼル・アラン 第1巻 / 笠井スイ / エンターブレイン / 2010
ジゼル・アラン 第1巻 / 笠井スイ / エンターブレイン / 2010

さて、話の面白さもさることながら、そんな「話と絵の雰囲気の親和性」という点で最近私が感動したのがこの『ジゼル・アラン』です。アパートの大家であり、じつは名家のお嬢様でもある少女ジゼルが、周囲の助けを借りながら「何でも屋」として成長してゆくお話。どこか上品で、優しく温かみのある作品なのですが、その温かみを表現するのに、絵の雰囲気が一役も二役も買っているのです。

とても繊細で、とにかく描き込みの密度が凄まじい!! 草花や洋服のディテール、レンガのざらざらした質感や木造の船の木目、果ては煙突の煤汚れまで、ひとつも手を抜かず、一コマ一コマ大切に描いているのが伝わってきます。登場人物の表情も、笑顔、泣き顔、照れ笑い、悔し涙、すべてにありったけの感情がこめられているよう。その感情に引っぱられて、読んでいるうちに彼ら彼女らがとても愛おしくなってきます。

優しい話と、繊細で気品のある、丁寧に描かれた絵。そのふたつが組み合わさって、うっとりしてしまうほど素敵な作品に仕上がっているのです。

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